ウェンドラー声帯短縮術

声帯短縮術は全身麻酔下で行われ、声帯の前3分の1を縫合することで振動する部分が短くなり、声帯の振動数が高くなる仕組みです。声帯粘膜を切除し縫合することで組織自体が癒合することで長期的な声の高さを維持することができます。

ただし、声帯自体に侵襲を伴うため、術後およそ1ヶ月は発声できません。また、その後も数か月かけて声の周波数が上がるという経過を必要とするので、安定した高い声となるには半年ほど時間が必要となります。

まれに、声帯に瘢痕などが生じる可能性があり、声の質が悪化するリスクがある反面、音域は甲状軟骨形成術Ⅳ型のように狭くなることはありません。このことから、手術後も音域を広く保って歌を歌いたい方は、声帯短縮術を選択される方が多いです。他に、ケロイド体質の方や、首に傷を作りたくないなどの理由でも声帯短縮術を選択されることがあります。

声帯短縮術のイラスト

声帯短縮術の特徴

【メリット】

  • 甲状軟骨形成術Ⅳ型と比較すると、術後の音域は広い
  • 口の中からの手術操作をするので、目に見える傷跡がない

【リスク】

  • 瘢痕が生じると一定的な声帯の動きが妨げられるため、掠れるなどの声質が悪い印象になる
  • 直接、声帯に侵襲が加わる手術のため、一度、施術すると元の声には戻らない
  • 全身麻酔による手術のため、心疾患など既往歴・治療歴によっては当院での全身麻酔が難しい場合がある
  • 全身麻酔による手術のため、術中に声の高さの確認はできない
  • 術後およそ1ヶ月は発声禁止→術部が安定して治癒するまで
  • 筒状の器具を口に入れるため、この器具で前の歯を損傷する可能性がある

診察から手術の流れ

遠方から来られる方や、なるべく少ない日程で手術を終わらせたい方にも考慮して事前に日程を調整し、受診日と術前検査+ICをすべて同日に実施することも可能です。

費用

声の高さを変えるための声帯の手術はすべて自費診察となります。

術前検査

手術について

手術時間はおよそ1時間で終わり、1泊入院で様子をみて頂きます。

術後1ヶ月ほどは声を出さず、安静が必要になります。発声は必要最小限にして筆談などを使って声を出さないように心がけてください。

また、声の調子は術後どんどん変化していくため、一時的にはとても不安定な状態になります、声が安定するまでには最低半年はかかりますので、焦らずに経過を見ていただく必要があります。

術式の流れ

  1. 麻酔開始(全身麻酔)
  2. 口頭展開(口の中に筒状の器具を入れ声帯が見えるよう準備)
  3. 顕微鏡下にて手術開始
  4. 声帯の部分切除
  5. 声帯の縫合
  6. 手術終了
  7. 麻酔覚醒

声帯短縮術の手術時間は約60分です

術後フォロー

日常生活での咳やくしゃみ極力避け水分を取り保湿に努めるなど、規則正しく生活をしていただくことを意識いただくようお願いいたします。手術日含め3日間は発声禁止で会話は筆談でお願いしています。4日目からは必要な場合のみ小さな声で発声可能ですが基本的には1ヵ月は安静が必要と考えて生活してください。

声のお悩みをお聞かせください

音声外来専用お問い合わせ送信後、あなたの声を録音した音声ファイルもしくは録画した動画を送信頂くこともできます。

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声のお悩みは他の病気とは違い、客観的には支障が少ないようでも、本人様にとって社会生活上の悩みは深刻です。一方で、より身近に声帯の手術を受ける事が出来る時代でもあります。当院医師と相談しつつ、一緒により良い生活を築いていきましょう。
日頃感じるあなたの声に関するご回答を基に、当院から連絡し解決への道のりをご提案させて頂きます。
まずは私たちと共に不安の軽減に努めましょう。

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