その他の耳の疾患
急性中耳炎
風邪などで鼻から細菌が入って耳と鼻をつなぐ耳管を通じて中耳に炎症がおこる状態です。子供に多くみられます。耳の痛み、聞こえにくさ、耳だれ、発熱を伴うことがあります。
乳幼児は耳の痛みがわからないため、機嫌が悪い、耳に手をやる、発熱などの症状になる場合もあります。特に緊急性はありませんが、子供が痛がっている場合は、とりあえず痛みを抑える必要があります。鎮痛剤、小さな子供の場合は熱さましの坐薬を使うことで、痛みは抑えられます。お薬が手元にない場合は、冷やした濡れタオルなどで耳の周囲を冷やすことで痛みは少し和らぎます。
細菌感染以外では、飛行機や潜った時などの急激な気圧の変化により耳管が大気圧の変化に対応できず、中耳に炎症がおこることがあります。耳の痛み、こもった感じ、聞こえにくいなどの症状があります。体を休めることが大切であり、必要であれば抗生剤の内服や鼓膜を切って膿を出す場合もあります。
1か月以内に治ることが多いですが、慢性中耳炎になる場合もあります。子供は少々聞こえが悪くてもなかなかそれを訴えませんので、痛みが治まっても、耳鼻科を受診されることをお勧めします。
外耳炎、外耳道真菌症
耳掃除をやりすぎることなどで外耳道に傷ができてしまい、炎症が起こり、痛み、耳垂れなどを起こします。軽度であれば自然に治りますが数日経っても治らない場合は受診をお勧めします。炎症が長引くと真菌(カビ)が増殖し、外耳道真菌症となります。検査を行い、治療が必要となります。
外耳道真珠腫
外耳道真珠腫は真珠腫が鼓膜より外側の外耳道に生じたものです。外耳道に耳垢のかたまりのようなものが溜まっていき、炎症が生じ骨を破壊していきます。定期的に外来処置で、外耳道の清掃を繰り返すことでも対処できますが、周囲の骨破壊がひどい場合は、根本的治療である手術が必要となります。
鼓膜穿孔
外傷、気圧の変化、中耳炎などによって鼓膜に穴が開くことです。
は綿棒などを差しこんだり、枝や虫が偶然耳の中に入ったり、頭をぶつけたりしたときに起こることがあります。気圧の変化は飛行機や平手打ち、潜水などによるものです。鼓膜に穴が開くと激しい痛みが生じ、耳鳴り、伝音難聴、めまいが起こることがあります。
多くの場合、鼓膜は自然に治りますが、炎症を伴う場合は点耳薬か内服薬の投与を行います。穿孔が閉鎖しない場合は手術(鼓膜形成術)による修復が必要になります。
耳孔栓塞
耳垢がたまることです。病気ではありません。粘っこくべたべたした耳垢の方は、綿棒などで掃除をしているつもりでも奥につめてしまうことがあります。耳が詰まった感じ、難聴、痛みを伴うことがあります。診察にて除去を行います。
耳管開放症
急な体重減少や加齢などによって、普段は閉じているはずの耳と鼻をつなぐ耳管が開きっぱなしになる状態です。耳閉感や自声強調(自分の声が耳に響きすぎる症状)が起こります。頭を低くしたり寝転がったりなど、姿勢を変えると症状が軽くなることがあります。
体重減少が原因であれば、体重が回復すると症状が消失することが多いですが、症状が続く場合は、漢方薬の内服を行ったり、耳管ピンを挿入したりする治療があります。本疾患をお持ちの方の中には、鼻すすりを強く行うことで、一時的に症状が改善するために、それを繰り返してしまい、真珠腫性中耳炎に進行します。真珠腫になってしまっている場合は、それに対する手術も同時に行う必要があります。
心因性難聴
耳や脳に問題がないにも関わらず、聞こえたことを認識できない状態です。学童に多くみられます。心理的問題がある場合はそれが取り除かれることによって症状が改善します。
外耳道癌、中耳癌
癌の中でもまれな疾患です。耳だれ、出血、聞こえにくさ、痛み、顔面神経麻痺などの症状があります。良性疾患でも同じような症状がでますので、診断が難しい疾患と言えます。