喉頭形成手術(甲状軟骨形成術)
甲状軟骨という、喉仏の軟骨の形を変えることで、声を出しやすくします。手術は仰向けの状態で、喉仏の部分の皮膚を横に数センチほど切開して行われます。
この手術の長所は、局所麻酔で行うためご本人に声を出してもらいながら調節ができることです。術後の声が好ましくなければ、100%元通りの声が戻るわけではありませんが、再手術で元に戻すことができます。
手術後は声帯が腫れることがあるため、3日から7日間は沈黙を守っていただく必要があります。声帯そのものにはダメージを与えないため、声帯に対して直接手術操作を加える喉頭微細手術に比べて沈黙期間は短くなります。
一方で短所は、頸部の皮膚切開は避けられないことです。しかし丁寧な縫合を行なっておりますので、個人差はありますが傷はあまり目立たないことが多いです。
当院では、基本的に1泊2日(手術当日に入院→手術施行→術後、夕食から食事が可能で、翌朝問題がなければ退院)の入院手術を行なっております。術後は1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の定期診察を行なっております。遠方の方にはオンライン診察で対応させて頂いております。
甲状軟骨形成術 Ⅱ型:
発声時に声帯が閉まり過ぎ、声がつまったり震えたりしてしまう場合に行われる手術です。内転型痙攣性発声障害に対して高い効果が期待できます。手術では一色信彦京都大学名誉教授が開発したチタンブリッジを甲状軟骨に装着します。こうすることで、声帯を広げたまま固定することができます。術後3日間は沈黙を守っていただく必要があります。声帯の隙間が広がるため、声のつまりや震えは改善しますが、若干声がかすれたり、大きい声が出しにくくなることがあります。喉頭だけではなくその周囲の筋の緊張が強すぎる方では、効果が限定的なことがあります。
甲状軟骨形成術 Ⅲ型:
声帯が強く張ってしまうことで、声が高すぎたり、声が裏返ったりすることがあります。この手術は、声帯の緊張を緩め、声を低くする手術です。甲状軟骨を真ん中より外側で部分的に切除し、声帯の前後径を短縮させ、声帯の緊張を緩めることにより、声の高さを下げます。術後は長期にわたる効果の持続が期待できます。高い声が出しにくくなるため、声域(出せる声の高低の幅)は狭くなります。術後は、ある程度声の出し方を自己トレーニングする必要があります。
甲状軟骨形成術 Ⅳ型:
緩んだ声帯の緊張を高めて声を高くする手術です。甲状軟骨を真ん中より外側で部分的に切除し、輪状軟骨と甲状軟骨を接近させることにより、声帯に緊張を与えて声の高さを上げます。長期にわたる効果の持続が期待できます。低い声が出しにくくなるため、声域(出せる声の高低の幅)は狭くなります。術後は、ある程度声の出し方を自己トレーニングする必要があります。
披裂軟骨内転術
声帯麻痺により、声門間隙(左右声帯間の隙間)が広い場合に行う手術です。甲状軟骨形成術Ⅰ型と組み合わせて行うこともあります。甲状軟骨に窓を開け、声帯に付着する披裂軟骨に糸をかけます。糸を側方に引っ張ることで、声帯が真ん中に寄り、声の抜けが少なくなります。症状が改善するまで引っ張り、輪状軟骨に固定します。
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