真珠腫性中耳炎の症状・診断・治療方法

真珠腫性中耳炎とは、上皮組織が増殖して周囲の組織を少しずつ破壊してゆく疾患です。先天性と後天性とに分類されます。

先天性真珠腫は、胎生期から出産に至るまでの間に、鼓室の中に上皮成分が残ってしまうことで生じると言われています。4,5歳くらいまではほぼ無症状ですが、鼓膜から白色の真珠様の塊が透見されて偶然見つかったり、滲出性中耳炎急性中耳炎がなかなか治りにくい場合に、実は先天性真珠腫が原因になっていることが判明したりすることがあります。進行すると中耳の耳小骨などの組織が破壊されていくため、難聴や耳漏を呈することもあります。

一方、後天性真珠腫は、中耳炎を反復したり頻回の鼻すすり癖などが原因となり、鼓膜の一部が奥に引き込まれていくことで生じます。初期では自覚症状はほとんどありません。進行すると、やはり難聴や耳漏、さらに進行するとめまいや顔面神経麻痺、髄膜炎など様々な症状を引き起こします。自覚症状がなくても、普通の慢性中耳炎と異なり診断がつけば早期に手術が望ましい病気です。進行している場合は2回に分けて段階的に手術を行います。

症例1

真珠腫が進行した重度の患者
真珠腫が進行し外耳道にまで出血が見られる重度の真珠腫の症例です。

症例2

比較的初期症状のの真珠腫
比較的初期の真珠種です。骨がさらに破壊されると耳だれが出たり聴こえが悪くなります。

治療方法

軽度であれば自覚症状はありません。しかし普通の慢性中耳炎と異なり診断がつけば早期に手術<鼓室形成術>が望ましい病気です。真珠腫の進行の度合いが軽いほど、術後の成績も良好です。進行している場合は2回に分けて段階的に手術を行います。

手術の経過1

真珠腫により骨破壊が起こっている状況

これは奥から上にかけて真珠腫が詰まっている状態の症例写真です。ここから真珠腫を取り除いたのちに軟骨で外耳道の欠損部を塞ぎ、元の外耳道に近い成形をしていきます。当院では特に患者さんのQOLを優先し可能な限りクローズ法(canal wall up)で行います。

手術の経過2

中耳の真珠腫摘出後

中耳(鼓室)の真珠腫が取り除かれているのが確認できます。少しでも真珠種が残ってしまうと、再び増大しますので、1年後に第2段階手術をおこない真珠腫の有無を確かめます。
再発がなければ聴力改善のための再建を行います。なお初期であれば一回の手術で済むこともあリます。

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