不眠症の分類
不眠症状を伴う様々な睡眠障害と誤診をしないことです。睡眠時無呼吸症候群・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)・周期性四肢運動障害・ナルコレプシー・うつ病による不眠や過眠などは、専門施設での検査と診断が必要です。
- ●ストレス
- ストレスと緊張はやすらかな眠りを妨げます。神経質でまじめな性格の人はストレスをより強く感じ、不眠にこだわりやすく、不眠症になりやすいようです。
- ●からだの病気
- 高血圧や心臓病(胸苦しさ)・呼吸器疾患(咳・発作)・腎臓病・前立腺肥大(頻尿)・糖尿病・関節リウマチ(痛み)・アレルギー疾患(かゆみ)・脳出血や脳梗塞・鼻腔形態異常・副鼻腔炎による鼻閉・アレルギー性鼻炎・耳鳴りなど様々な体の病気で不眠が生じます。不眠そのものより背後にある病気の治療が先決です。原因となっている症状がとれれば、不眠はおのずと消失します。
- ●こころの病気
- 多くのこころの病気は不眠を伴います。近年は、うつ病にかかる人が増えています。
単なる不眠だと思っていたら実はうつ病だったというケースも少なくありません。不眠症状や過眠症状(眠気)とともに、気分の落ち込みや意欲減退(何事も億劫)、興味の減退(趣味が手につかない)などの症状がみられる場合には早めに専門医を受診してください。
- ●その他の睡眠障害
- 睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)など、睡眠に伴って呼吸異常や四肢の異常運動が出現するために睡眠が妨げられ、不眠症状が出現する場合も珍しくありません。
- ●薬や刺激物
- 治療薬が不眠をもたらすこともあります。睡眠を妨げる薬としては、降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤などが挙げられます。また、抗ヒスタミン薬では日中の眠気が出ます。
コーヒー・紅茶などに含まれるカフェインには利尿作用もあり、トイレ覚醒も増えます。
- ●生活リズムの乱れ
- 交替制勤務や時差などによって体内リズムが乱れると不眠を招きます。現代は24時間社会といわれるほどで昼と夜の区別がなくなってきていますから、どうしても睡眠リズムが狂いがちです。
耳鼻咽喉科医が得意な睡眠障害-鼻が原因の不眠症
不眠は全ての診療科の領域に及びます。耳鼻咽喉科医といえども耳鼻咽喉科領域以外の不眠症にも知識が必要です。
耳鼻咽喉科領域の鼻閉による不眠症の場合でも、うつ病などによる不眠症が合併しているときには心療内科などでの相談治療も考慮されますのでご了承ください。
鼻腔の抵抗は全気道の50%を閉めます。その鼻腔の形態異常や慢性鼻炎は、睡眠障害や日中の眠気を伴うことがよくあります。
睡眠が妨げられると、多くの免疫、代謝プロセスや脳機能が損なわれます。
睡眠が妨げられる不安から鼻閉が気になり眠れないこともあります。
- 1)入眠困難、入眠潜時に関係して
- 安定した鼻呼吸の維持のためには温度センサー(無髄神経線維polymodal C-fiber)からの安定した情報を中枢に伝達することが必要で、睡眠開始のトリガーの一部になっていると想像しています。
温度センサーが刺激され、鼻腔に大気が流入することは脳温が低下することにつながります。鼻閉があると脳が十分冷やされず肺でガス交換するのに時間がかかりすぎ入眠困難になります。
- 2)中途覚醒・早朝覚醒
- 鼻閉は短期長期の不眠症、ひいては日中傾眠および日中の活動性低下をもたらします。
睡眠中の鼻呼吸障害は鼻腔粘膜上のレセプターからの安定した求心性情報を妨げ、中枢における自発性覚醒(spontaneous arousal)を生じさせ、これが睡眠の分断化(sleep fragmentation)となり中途覚醒・早朝覚醒へとつながると考えられます。
口呼吸への移行時、口呼吸から鼻呼吸への移行時も換気力学的な問題が生じ中途覚醒につながると予想されます。
- 3)睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠時無呼吸症候群の疾患がある方は、鼻閉により睡眠中、鼻からの求心性情報が途絶えること、また換気力学的な理由により禁断の果実である口呼吸へと移行し睡眠時無呼吸症候群の不利な換気を助長させてしまいます。
口呼吸から口を閉じて急に鼻呼吸へ移行すると胸腔内圧の急激な変化が起こり中途覚醒の要因になります。
また口呼吸は鼻による加温加湿能力も妨げられこれも中途覚醒の要因になる可能性があります。
- 4)熟睡感の欠如
- 鼻閉により換気仕事量の能率が悪くなり起きた時に疲れた感じ、熟睡感の欠如が起こる可能性があります。
- 5)鼻腔形態異常・慢性鼻炎
- 鼻腔形態異常、慢性鼻炎の疾患がある方は、左右の鼻の通り具合に敏感です。正常な方では気にならない程度の左右差でも分かります。
このことが睡眠前に鼻閉が邪魔で眠れないかもと睡眠に対する不安を引き起こします。
- 6)アレルギー性鼻炎
- アレルギー性鼻炎の際に放出される炎症性ケミカルメディエーターは睡眠障害を引き起こすことが報告されています。
アレルギー性鼻炎では、REM睡眠の呼吸障害指数(17.7 ± 14.5 vs. 14.7 ± 18.5) および 呼吸努力関連覚醒 (2.2 ± 2.1 vs. 1.6 ± 1.7) パラメーターは、非アレルギー性鼻炎グループと比較してアレルギー性鼻炎で高くなる傾向があります。
アレルギー性鼻炎は睡眠の質を悪化させます。
疫学調査では,アレルギー性鼻炎の重症度と睡眠障害の程度には強い相関があることが示されております。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)によって放出される様々なメディエーターがアレルギー性鼻炎の鼻閉をひどくするということも報告されています。アレルギー性鼻炎の内服薬が眠気を起こすこともあり医師と十分な相談が必要です。
- 7)アレルギー性鼻炎
- アレルギー性鼻炎の際に放出される炎症性ケミカルメディエーターは睡眠障害を引き起こすことが報告されています。
アレルギー性鼻炎では、REM睡眠の呼吸障害指数(17.7 ± 14.5 vs. 14.7 ± 18.5) および 呼吸努力関連覚醒 (2.2 ± 2.1 vs. 1.6 ± 1.7) パラメーターは、非アレルギー性鼻炎グループと比較してアレルギー性鼻炎で高くなる傾向があります。
アレルギー性鼻炎は睡眠の質を悪化させます。
疫学調査では、アレルギー性鼻炎の重症度と睡眠障害の程度には強い相関があることが示されております。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)によって放出される様々なメディエーターがアレルギー性鼻炎の鼻閉をひどくするということも報告されています。アレルギー性鼻炎の内服薬が眠気を起こすこともあり医師と十分な相談が必要です。
耳鳴りが原因の不眠症
耳鳴りは一般的によく見られる医学的疾患です。多くの人が不眠症を併発しております。
不眠症は耳鳴りに伴う非常に一般的な症状及び診断カテゴリーであると私は思います。
殆どの研究で不眠症の有病率は40%でした。耳鳴り患者様に不眠症があると耳鳴りへの耐性が低下し、不快感が増大することが報告されています。不眠症のある耳鳴り患者様は不眠症のない耳鳴り患者様よりも重度の耳鳴りを呈する可能性があります。治療方法は薬物療法と補聴器による音響療法があります。詳しくはご相談ください。
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