不眠症、睡眠時無呼吸でこのホームページに訪れた方。他の睡眠障害(下記)も合併していらっしゃることも多々あります。よくある疾患のみ記述しました。
ナルコレプシーの特徴は、場所や状況に関係なく反復的に発生してしまう睡眠発作、つまり激しい眠気です。
また情動脱力発作も特徴的なナルコレプシーの症状です。
睡眠中に睡眠麻痺(金縛り)、睡眠発作、情動脱力発作、入眠時幻覚の4つを合わせてナルコレプシーの4主徴と呼びます。
怒り、喜び、驚きなどの激しい感情の動きによって誘発され、全身の強い脱力が起こり、その場に崩れ落ちるように倒れこんで意識を失ってしまったり、ろれつが回らなくなることもあります。
長くても1~2分で何もなかったように平静に戻りますが、脱力発作を起こした時に転倒・骨折などの怪我を起こす危険性があるので、十分な注意が必要です。
その他にも眠りに就いた途端に幻聴や幻視が現れる入眠時幻覚は、安らかな眠りを妨げてしまいます。
先日も中学生時代から上記のような症状がある患者様がいらっしゃいました。大学での睡眠の講演があってひょっとして自分もかなと思って受診したわけですが、現在に至るまで大変だったなと思います。
しっかり啓蒙してゆく必要があると実感しました。
「情動脱力発作を伴いオレキシン欠乏例の多いⅠ型」と「情動脱力発作を伴わずオレキシン欠乏が認められない2型」に分類されています。
ナルコレプシーの診断は、まず問診で普段の睡眠状態を確認し、終夜睡眠ポリグラフの検査、反復睡眠潜時検査(MSLT)などを行います。
レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder: RBD)は、眠っている間に夢に左右された行動をとる障害です。
いわゆる「夢遊病」である睡眠時遊行症は、睡眠中に行動する点でレム睡眠行動障害と非常に似ていますが「睡眠時遊行症」は「ノンレム睡眠中」に生じ若年に多く、ほとんどが年月とともに自然に寛解します。
一方、「レム睡眠行動障害」は「レム睡眠中」に生じ、中年〜老年期に出現するものであり、両者はまったく異なるものです。P.S.G上のRWA(REM sleep without atonia)が重要です。
OSA と RBD の両者は中高齢者において有病率の高い睡眠関連疾患であり併存する症例をしばしば経験します。OSAとRBDが併存する例も認められます。
パーキンソン病あるいはレビー小体型認知症(dementia with Lewy body; DLB)などの α シヌクレイノパチーのハイリスク群であることを念頭に経過観察する必要があります。αシヌクレイノパチーに関連して嗅覚障害も合併していることがあります。
当院では基準嗅覚検査も行っています。
レム睡眠行動障害はその時点で運動障害がなく認知症ではなくても、数年以内にパーキンソン病やレビー小体型認知症が発症する可能性が高く、注意して経過をみる必要があります。
就寝の際、鋭利なものなどの危険物が身近にないようにし、転倒時のリスクを減らす環境を作る必要があります。
4つの症状がすべて満たされることとされています。
主に夜、眠ろうとする時間帯になると足がムズムズして足を動かさずにいられなくなる障害です。
入眠困難を訴える者の中に、実際にはこの障害であるかたが少なからずいらっしゃいます。
脳のドーパミンシグナル伝達の機能低下を反映しているされています。ドパミン代謝に必要な脳の鉄利用機能障害がドパミン代謝異常に拍車をかけると考えられています。
血清鉄、血清フェリチンは必ず調べなければならない検査です。
家族的発現も認められることがあります。
PSG検査では周期性四肢運動がPSG上有意に多く出現します。睡眠潜時の延長、覚醒反応指数の増加が結構見られます。
むずむず脚症候群の症状に加えて中途覚醒が多い、熟眠感がないなどが認められればPSG検査が必要です。
睡眠時無呼吸も合併していることもあります。
治療はフェリチンが低値であれば鉄剤を補充します。
重篤な腎障害、パーキンソン病では周期性四肢運動とむスムス脚の頻度が高いとされています。
治療は原疾患の治療、鉄剤の補給、ドパミン製剤投与です。
0.5~10秒持続する筋収縮が繰り返し4回以上連続して出現し、筋収縮の出現間隔は5秒以上90秒以下を周期性四肢運動障害といいます。
むずむず脚症候群の80%~90%、レム睡眠行動異常の70%、ナルコレプシーの50%に合併するといわれています。
もちろん睡眠時無呼吸症候群で来院された患者様の中でもPSGを行って初めて診断されることも往々にしてあります。
ノンレム睡眠時に多く、レム睡眠では少ないようです。
周期性四肢運動障害が多発すると中途覚醒が生じ昼間の眠気、倦怠感を起こします。
不眠症以外に睡眠中の四肢のピクツキを自覚することは少なく、ベッドパートナーに指摘されることがまれにあります。
むずむず脚も血清フェリチン値の低値で表される脳内鉄欠乏からドパミン欠乏に陥っていることがありフェリチン血清鉄の血液検査が必要です。
黒質ドパミン神経細胞の変質が主病変とされるパーキンソン病では周期性四肢運動とむずむず脚の有病率が高いとされています。